【御所】拾翠亭|百日紅咲く京都御苑内の公家屋敷

こんにちは、Naomiです。真夏の暑さが続く8月のある日、夏を彩る花の一つである百日紅さるすべりが咲き誇るお屋敷を見たいと思い、京都御苑内にある拾翠亭を訪問しました。目の前の池に掛かる大きな高倉橋を渡りながら眺めたことはあるのですが、拾翠亭には入るのは初めてでした。

百日紅の名所は写真家の水野先生の写真集に載っていた2カ所(祇園白川、本隆寺)しか知りませんでしたが、拾翠亭の百日紅は人気のようでinstagramで写真を投稿されている方が多くいて、建物と百日紅の様子がとても美しいので行ってみようと思いました。

目次

拾翠亭とは

拾翠亭しゅうすいていとは、

京都御苑内にある江戸時代後期に建てられた公家屋敷のお茶室のことです。

*五摂家ごせっけの一つであった九条家茶会や歌会などに用いるための別邸として建てられたものです。

九条家の屋敷建物で、唯一現存する建物です。

鎌倉時代中期に成立した藤原氏嫡流で公家の家格の頂点に立った近衛家・一条家・九条家・鷹司家・二条家の5つの一族のこと。大納言・右大臣・左大臣を経て摂政・関白、太政大臣に昇任できた。摂関家(せっかんけ)、五摂家(ごせっけ)、執柄家(しっぺいけ。「執柄」とは権力掌握のことで摂政・関白の別名)ともいう。

拾翠亭の見どころ

こちらが京都御苑の間之町口を入ってすぐ右手奥に進んだところにある拾翠亭のです。

門から入って右にある薄いオレンジ色の建物が拾翠亭の玄関です。

玄関を入って参観料を支払って建物内を見る形なので、周囲のお庭は無料で散策することができます。

玄関を入ってすぐの所には「控えの間」という7畳半の間があります。襖を外せば広間と合わせて17畳の広さになるそうです。

広間

一階の主室。池に面して広縁を設けてある神殿造りの趣きで、室内は10畳の広さのある書院造りとなっています。

これは広間の一角にある襖で、縁がない太鼓襖というものだそうです。

笹と、小枝に止まるスズメらしき小鳥が墨絵で描かれています。ぽやっとした表情のスズメがとても可愛らしくて、思わず写真を撮っておきました。

広縁

広間の東側から北側にある広い縁です。目の前に広がるのが九條池です。

広縁の東側にも北側にもすぐのところにピンク色の百日紅があります。

広縁から北側にある百日紅を眺めたところです。右手に手水鉢ちょうずばちがあり、池には船が浮かんでいます。

こちらは広縁から東側にある百日紅です。九條池の奥の方に掛かっているのが高倉橋です。

小間

広間の北側に位置する小さい間です。広間も小間も茶室となっており、公家がこれらの隣接する二つの茶室を行き来しながら茶事を楽しんでいたことがうかがえます。

こちらの窓からも百日紅を見ることができます。

二階座敷

この階段を上がって二階へ行きます。昔の建物なのでとても急な階段でした。

※以下の二階座敷からの写真は職員の方の許可を得て、撮影時のみ立入禁止のための竹柵を移動させて頂いています。

二階座敷の北側から見た百日紅です。

二階は二間半四方にけんはんしほう(約4畳の正方形型)のゆったりした座敷となっており、外回りは北、東、南の三方に上のような縁高蘭えんこうらんと言われる手摺てすりがめぐらされています。

こういった凝った形の柵があると上品で、そこからの風景がより際立って綺麗に映るような気がします。

こちらも北側から。

百日紅の右奥、池の上に浮かんでいるのは藤棚でしょうか?春もまた美しい光景が見られそうです。

北側の百日紅を少し上から覗き込んで。 (※縁は崩落の危険があるので踏み込めません。

こちらは東側。百日紅と奥には九條池に掛かる高倉橋が望めます。右奥の方にも百日紅の木があります。

二階の室内です。優美な印象の造りです。

障子と丁子七宝

こちらは南側の格子窓にある丁子ちょうじ七宝という紋様です。チョウジとは肉料理やお菓子などの香りづけに使うクローブのこと。チョウジノキの花蕾であるチョウジが、ちょうど丁の字に形が似ているそうです。香りが強いので邪気払いのために使われていたようです。

これを見たときは何の形か知りませんでしたが、とてもおしゃれな模様で景色がより一層美しく見えます。

九條池(勾玉池)

屋敷前方のこの池はその形から勾玉池まがたまのいけとも呼ばれ、現在は九條家を忍んで九條池と呼んでいます。

元々は東山の大文字山を借景として取り入れた設計ですが、現在は池の東側の木立が生い繁っているため見えにくくなっています。

この写真にはその東側の木立の中にも百日紅の木が二本生えていてとても綺麗です。

高倉橋

高倉橋は九條池に掛かる立派な反橋です。明治15年の竣工だそうです。

写真では橋の奥にある百日紅が池の水面に写っていて綺麗です。

拾翠亭の周囲

拾翠亭を後にし、周囲を散策した際の写真です。

北側の二階窓を見上げました。

北側の百日紅。右奥には一階の広縁が見えます。

北側の百日紅の木の全体像。

これは北側奥にある四阿という腰掛待合のための建物。こちらも柱の木の切り方が美しいです。

拾翠亭の南側から。二階屋根上にシャチホコがあります。

南東の方向から。広縁の前に蓮の鉢が置かれています。

北東の方向から。三本の百日紅の木が写っています。

拾翠亭を囲む百日紅たち。外から見た様子もとても美しいです。

池に浮かぶ船はいつどのように使用しているのか気になりました。

厳島神社

池の西寄りに上の写真の中島があり、厳島神社まつられています。

この小さい中島にも小さな百日紅がちょこちょこと生えていて可愛かったです。

厳島神社は九條家の鎮守社であり、平清盛が母のために安芸あきの厳島神社を*勧請かんじょうしたのが起こりといわれているそうです。

この鳥居は唐破風(からはふ)という珍しい形で、唐と付きますが日本特有の建築技法だそうです。

*勧請…神の分霊を迎えて、新しく設けた分祀の社殿に迎え入れて祀ること。

高倉橋を北側から見たところ。拾翠亭からぐるっと池の奥方面へ歩いていくと、こうやって橋を渡ることもできます。

橋は2021年から2022年3月にかけて修繕工事をなされているので綺麗になっています。

池の東奥の百日紅。

その百日紅の右横には*築山つきやまがあり、上のような滝組が設けられています。

この小さな可愛らしい滝は、前に橋を渡ったときには気づかなかったので、通るときによく見てみてください。

*築山…山に見立てて人工的に作られた山。

拾翠亭を東側の正面から、橋の上から撮った写真です。

建物を囲む三本の百日紅と、手前にある小さめの松の木の緑色も美しいです。

拾翠亭の名前の由来

①「拾翠」で、緑の草花を拾い集めるという意味。平安貴族が春に草花を摘んで楽しんでいた慣わしに因んでいるそう。

②翠は翡翠の翠。翡翠は野鳥の「カワセミ」を表す漢字であり、宝石の翡翠(ヒスイ)はカワセミの羽の色から名づけられています。かつては九條池に数多くのカワセミが飛来したことから「拾翠」と名づけられたという説もあるそうです。

私が訪問した際は真夏の炎天下だったのでカワセミは見当たりませんでしたが、近くの鴨川では何度か見つけたことがあるので時期によってはこの池に滞在しているかもしれません。また探しに来ようと思いました。

百日紅について

百日紅(サルスベリ)は漢字の名前の通り、夏の間に100日くらい咲いているそうです。大体7月から9月頃の間です。

私は8月19日訪問し、写真のようにとても綺麗でしたが、一番の見頃は7月後半くらいだったのかなと思います。

9月中旬になっても京都市内の至る所で百日紅が咲いているのを見かけるので、拾翠亭もまだ綺麗かもしれません。是非訪れてみてください。

最後まで読んで頂きありがとうございました!

拝観案内・アクセス

拝観案内

申し込み・問い合わせ先一般財団法人 国民公園協会京都御苑
住所〒602-0881 京都市上京区京都御苑3 MAP 
電話番号075-211-6364  受付 8:30〜16:30(月曜日定休、年末年始休業)
HPアドレスhttps://fng.or.jp/kyoto/
一般公開日年末、年始を除く毎週木・金・土曜日
葵祭(5/15)、時代祭(10/22)
参観時間9:30~15:15(受付終了)※15:30まで参観可能
参観料大人300円(高校生以上) 中学生以下無料
拾翠亭 twitter@gyoen_tearoom
京都御苑広報 Instagramkyotogyoen_info

アクセス

京都市上京区京都御苑3 (烏丸丸太町交差点を東へ約50m、間之町口あいのまちぐち入ってすぐ右へ)

交通手段下車駅・バス停徒歩
①地下鉄丸太町3分
②バス烏丸丸太町3分
③京阪線神宮丸太町10分

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この記事を書いた人

1987年10月生まれ。
20代後半に、住みながら京都を巡りたいと思い、大好きな京都へ移住。趣味は旅行。パン屋巡り、寺社巡り、野鳥やお花を眺めることが好き。

YouTube「愛する京都」〜京都での日々をつづる夫婦のvlog〜

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